独立リーグの存在価値
二宮清純
野球独立リーグ、四国・九州アイランドリーグの福岡レッドワーブラーズが経営の立て直しをはかるため、来季のリーグ戦に参戦しないことを決めた。球団は存続し、2011年からの復帰を目指すという。日本には現在、アイランドリーグに加え、北陸・上信越地区のBCリーグ、関西独立リーグの3つの独立リーグがあるが、公式戦に参加できない事態に陥るのは初めてだ。
2005年に産声をあげたアイランドリーグだが、その経営は苦境が続いている。リーグ全体の赤字は毎年、億単位。今年度は、米国発の金融危機に端を発した経済の冷え込みが影響し、2億2000万円の赤字となる見込みだ。経営が厳しいのは他のリーグも同様で、選手の給与カットや、地元紙などの支援を受けて何とかやりくりしているのが実情である。
私は大きく2つの理由から独立リーグの発展を願っている。 ひとつは夢を諦めきれない若者への再チャレンジの場として。バブル崩壊以降、プロ野球の実質的なファームの役割を果たしていた社会人の企業チームは激減した。どんなに素質を持った“ダイヤモンドの原石”も磨かなければ、ただの石コロである。独立リーグでは、プロの指導者が基本を教え、年間80試合前後の実戦経験を積ませることで、スリーパー(眠っている才能)にチャンスを与えている。
実際、独立リーグ誕生以降、アイランドリーグからは20人、BCリーグからは7名の選手がドラフトで指名を受けた(育成選手も含む)。彼らは独立リーグがなければ、既に野球を断念せざるを得なかったかもしれない。近い将来、1軍で主力となる選手も出てくるはずだ。日本からメジャーリーグへのスター選手流出が相次ぐ中、企業チームに代わる人材供給基地として、その存在意義はますます高まっている。
2つ目はスポーツによる地域振興だ。特に四国、北陸、上信越地域にはこれまでNPBの球団が存在しなかった。人々が野球観戦を楽しむ機会は限られており、首都圏やほかの大都市と比べれば娯楽が少ない。中央と地方の文化格差は、経済格差以上に深刻な問題だ。この格差が若者の中央志向につながっていることは言を俟たない。地域にスポーツクラブが増えれば、住民に娯楽を提供するのみならず、若者を引きとめることもできる。
当然、ヒトが増えると、地域内で流通するモノ、カネは確実に増える。独立リーグがなければ、これらの経済効果は生まれない。むしろ、独立リーグの球団も運営できないとなった場合、その地域の経済力が疑われかねないだろう。スポーツに限らず、大きなプロジェクトは困難とみなされる。この“経済非効果”のほうが深刻だ。
確かに地域経済はどこも苦しく、なかなか支援の手を差し伸べることができない事情は充分に理解できる。しかし、スポーツは経済活性化の起爆剤になることもまた事実だ。地元自治体、企業、住民が一体となって、長い目で独立リーグを支えてほしい。
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