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W杯ベスト16、収穫と課題

二宮清純


 南アフリカW杯、日本代表は予想以上の健闘をみせたと言っていいだろう。大会前、チーム状態はどん底だった。テストマッチでは4連敗を喫し、国内の期待は空気の抜けた風船のようにしぼんでいた。

 ここで岡田武史監督は腹をくくった。チームの要だった中村俊輔を外し、守備型の布陣にスイッチした。指揮官が就任当初、口にしていた“接近、展開、連続”によるプロアクティブ(未来予測)型から、堅守速攻のリアクティブ(現実対応)型へと舵を切ったのである。結果的には、これがツボにはまった。

 日本サッカーの成長を物語るひとつの数字がある。今大会、日本のオンターゲット率(シュートが枠をとらえたパーセンテージ)は出場32チーム中、なんとナンバーワンなのだ(決勝トーナメント1回戦終了時)。ちなみに日本が初めてW杯に出た1998年のフランスW杯でのオンターゲット率はわずか20%。これは32チーム中、最下位だった。

 この結果からも分かるように日本のテクニックは年々、レベルが上がっている。フリーキックで2得点をあげたデンマーク戦しかり、技術立国が育てた“匠の技”は世界でも通用する。これは93年のJリーグ創設以来、クラブを全国で増やし、普及、育成に務めてきた成果だろう。監督、コーチにライセンス制を取り入れ、一定水準の指導ができるようになったことも大きい。

 しかし、オランダ戦もパラグアイ戦もゴールが奪えず、涙を飲んだ。日本が越えなくてはならない壁はここにある。要するに決定力のある本物のストライカーがいないのだ。そして、それは体系だった教育の中で育てられるものとは限らない。

ともすると私たちは「日本は“個”で勝てない。やはり“組織”で戦うべきだ」と組織優先論に陥るきらいがある。しかし、個を生かせない組織が、「世界を驚かす」サッカーを展開できるだろうか。個か組織かの二項対立ではなく、個と組織のシナジーを考えるべきだ。もちろん、これはサッカーに限った話ではない。


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